ヨガは、披露する場所じゃない

Body|からだという場所

― 今の身体と出会う時間 ―

「身体が硬くて…」

体験の方が、少し申し訳なさそうに言う言葉です。
まるで、それがヨガに来てはいけない理由であるかのように。

でも、ほんとうにそうでしょうか。

かたい、は悪いこと?

前屈をして、手が床につかない。
開脚をして、全然ひらかない。

それを「できない」と呼ぶこともできます。
でも、別の見方もあります。

それは、
「まだ、知らない感覚がある」ということ。

身体が硬いということは、
そこにまだ、眠っている感覚があるということです。

ヨガは、その感覚に出会う時間。

完成形を目指す時間ではありません。

柔らかくなってから行こう、は少し違う

「もう少し柔らかくなったら行きます」

この言葉は、とてもよく聞きます。
でも、少しだけ矛盾しています。

泳げるようになったらプールに行く。
英語が話せるようになったら英会話に行く。

どこか、似ています。

ヨガは、柔らかい人が“披露する場所”ではなく、
今の身体と出会う場所。

硬いままで、いいのです。

伸ばすより、ゆるめる

多くの人が思っているヨガは、
「ぐーっと伸ばすもの」かもしれません。

でも実際にやっていることは、
伸ばすことより、ゆるめること。

無理に可動域を広げることよりも、
余計な力が抜けていくのを待つこと。

身体は、押されると守ろうとします。
でも、安心すると、自然にひらいていきます。

呼吸が通り、
肩の力が抜け、
「もう少しいけるかも」と思えた瞬間に、
身体はすこしだけ変わります。

それは、がんばった結果というより、
ゆるんだ結果。

硬い人ほど、
この“ゆるむ感覚”に出会いやすいのです。

比べなくていい場所

スタジオで誰かが深く前屈していても、
それはその人の今日の身体。

あなたの身体は、あなたのもの。

ヨガは、競技ではありません。

呼吸が静かに通れば、
それだけで十分。

ほんとうは、硬い人ほど向いている

身体が硬い人は、
変化に敏感です。

「今日、少し呼吸が深い」
「昨日より、肩が軽い」

小さな変化に気づける。

それは、ヨガのいちばん大切な感覚です。


柔らかい人のためのヨガではありません。
うまい人のためのヨガでもありません。

披露する場所でもありません。

いまの自分に、戻るための時間。

硬いままで、来てください。

そのままの身体で、
十分なのです。