戻れなくなる前に、戻る

Off the Mat|日常へ

— 外側に揺れたときの、小さな戻り方 —

影響の中にいるということ

日常の中で、
ふとした一言や仕草に、
心が揺れることがあります。

隣にいる人の空気に引っ張られて、
本来の自分とは少し違う反応をしてしまうこともある。

それは、決して特別なことではなく、
私たちが人と関わって生きている以上、
とても自然なことです。

人はもともと、
空気を読み、
共感し、
同調することで、社会の中で生きてきました。

だから、影響を受けてしまうこと自体は、
弱さではなく、ひとつの働きでもあります。


自分の位置がわからなくなるとき

ただ、
その流れの中にいると、
いつの間にか、自分の位置がわからなくなることがあります。

どこまでが自分で、
どこからが外なのか。

そんなとき、
自分に戻るためにできることがあります。


戻るための、小さなきっかけ

ひとつは、
気づくこと。

「あ、今ちょっと引っ張られているな」と、
その瞬間に気づくだけで、
意識はすでに少し外側から離れています。

もうひとつは、
呼吸に戻ること。

ほんの一呼吸でいい。
ゆっくりと吸って、吐いて、
身体の内側に意識を向ける。


足の裏に戻る

とくにおすすめなのは、
足の裏の感覚に意識を向けること。

床に触れている感覚や、
体重が乗っている重さを、静かに感じてみる。

それだけで、
上にのぼっていた意識が、
すっと下に降りてきます。

考えや感情に引っ張られていた状態から、
今ここに戻ってくるような感覚。

足の裏は、
外に広がった意識を、
もう一度、自分の中に集めてくれる場所なのかもしれません。


それは、本当に自分のもの?

そして、
静かに問いかけてみる。

「今感じているものは、自分のものだろうか」と。

イライラや焦り、
言葉にできない違和感も、
どこかで触れたものが、
そのまま流れてきただけかもしれません。

そうやって、
ひとつずつ見分けていくことで、
自分の輪郭は、ゆっくりと整っていきます。


自分に戻れるということ

影響を受けないことを目指すのではなく、
影響の中でも、自分に戻れること。

外に揺れながらも、
戻る場所を持っていること。

それは、強さというよりも、
静かな安心感のようなものかもしれません。

立っている場所に戻ることは、
そのまま、自分に戻ることなのかもしれません。