呼吸はコントロールしない、という練習について

― 何もしないことで、はじめて気づくこと ―

呼吸を「整えよう」としなくていい

ヨガを始めると、
「呼吸を深くしましょう」「ゆっくり吸って、長く吐いて」
そんな言葉をよく耳にします。

もちろん、それが助けになる場面もあります。
でもいつの間にか、呼吸を“うまくやろう”としている自分に気づくことがあります。

深く吸えているか。
乱れていないか。
正しいリズムか。

その確認が、かえって呼吸を窮屈にしてしまうこともあります。

コントロールしない、という選択

ここでいう「コントロールしない」とは、何もしない、放っておく、という意味ではありません。

ただ、変えようとしないで、観察する。
今どうなっているのかを、評価せずに感じてみる。

浅ければ浅いまま。
速ければ速いまま。
乱れていれば、その乱れを。

それだけで、呼吸は十分に役割を果たしています。

呼吸は、今の状態をそのまま映す

呼吸はとても正直です。
疲れていれば浅くなり、緊張していれば速くなります。

「こうあるべき呼吸」を目指すよりも、今、どんな呼吸をしているかに気づくこと。
そこから、身体の状態や、心の向きが、自然と見えてくることがあります。

整える前に、知る

多くの人は、乱れたら整えようとします。
でも、整える前に、知ること。知る前に、止まること。

その順番が、呼吸の練習をずっと楽にしてくれます。

何かを変えなくても、「気づいた」という事実だけで、呼吸は少し余裕を取り戻します。

練習というより、習慣

呼吸をコントロールしない練習は、特別な時間を必要としません。

マットの上でなくても、歩いているときや、立ち止まったとき、ふとした瞬間で十分です。

ただ一呼吸、今のままを感じてみる。それを繰り返すことが、いつの間にか「練習」になっていきます。

おわりに

呼吸は、整えるものというより、教えてくれるものなのかもしれません。
うまくやろうとしなくていい。深くしなくてもいい。

今の呼吸に、そっと意識を向ける。それだけで、今の自分と、少しだけ距離が縮まります。