― ヨガが教えてくれる、もうひとつの見方 ―
人は不思議なもので、気づくと誰かと比べています。
仕事のこと。お金のこと。年齢のこと。
SNSを開けば、なおさらです。
誰かの活躍が目に入り、誰かの暮らしが目に入り、
知らず知らずのうちに自分と比べてしまう。
「あの人はすごいな」
と思ったはずが、
いつの間にか、
「それに比べて自分は…」
になっていることもあります。
もちろん、競争そのものが悪いわけではありません。
誰かに刺激をもらうこともありますし、
目標に向かう力になることもあります。
けれど、いつも何かを比べながら生きていると、
少し疲れてしまうことがあります。
気づけば比べてしまう私たち
競争は、社会の中では自然なことです。
学校でも、仕事でも、スポーツでも、
私たちは小さな頃から比較の中で生きています。
だからこそ、比べてしまう自分を責める必要はありません。
ただ、その状態が続くと、
心が休まる時間が少なくなってしまいます。
誰かより良いかどうか。
誰かより進んでいるかどうか。
そんな基準ばかりで物事を見るようになると、
今ここにある自分の感覚を見失いやすくなります。
ヨガの時間は競争から離れる時間
ヨガの時間が好きなのは、
そんな競争から少し離れられるからかもしれません。
マットの上では、誰かより前屈が深い必要もありません。
誰かより柔らかくなる必要もありませんし、
誰かより上手にポーズを取る必要もありません。
ただ、自分の身体と呼吸に意識を向けていきます。
今日はどんな呼吸だろう。
身体はどんな感じだろう。
どこか力が入りすぎていないだろうか。
そんなふうに、自分の内側へと視線を向けていきます。
呼吸に戻ると比べることを忘れていく
面白いことに、呼吸に集中していると、
人と比べる余裕が少しずつなくなっていきます。
隣の人が気にならなくなる。
昨日の自分とも比べなくなる。
ただ今の自分と一緒にいる時間が増えていきます。
ヨガは競争しないための練習というより、
「競争しなくても大丈夫なんだ」
という感覚を思い出す時間なのかもしれません。
呼吸は、いつも自分の中にあります。
だからこそ、外へ向いていた意識を、
やさしく内側へ戻してくれるのでしょう。
競争しない時間に慣れていく
そして、その感覚は少しずつ日常にも広がっていきます。
人より先に進まなくてもいい。
人と同じでなくてもいい。
いつも勝っていなくてもいい。
もちろん、社会の中では競争が必要な場面もあります。
けれど、すべてを競争で測らなくてもいい。
そんな選択肢が、自分の中に生まれてきます。
ヨガを続けていると、
身体が柔らかくなることもあります。
呼吸が深くなることもあります。
けれど、それ以上に大きいのは、
「競争しない時間に慣れていくこと」
なのかもしれません。
誰かと比べ続けていた視線が、
少しずつ自分の内側へ戻ってくる。
呼吸を感じながら過ごす時間が増えていく。
その積み重ねが、心を少しだけ自由にしてくれるような気がしています。
世界は相変わらず競争であふれています。
だからこそ、せめてマットの上だけは、
誰かと比べることをお休みしてみる。
競争しないことを目指すのではなく、
競争しない時間を持ってみる。
ヨガは、その練習なのかもしれません。

