静かな時間は、案外すぐそばにある

Off the Mat|日常へ

— マットの上と、自転車の上で —

最近、少し腰を痛めてしまって、サーフィンはしばらくお休みしています。

波のことを考えない朝なんて、なんだか変な感じです。
天気予報を見ても、風向きを確認しても、身体が海へ向かわない。

最初は少し落ち着かなかったけれど、代わりに増えた時間があります。

自転車です。

特に目的地を決めず、ふらっと長距離を走る。
海沿いでも、街でも、川沿いでもいい。
ただペダルを回して、気づいたら知らない場所まで来ている。

そんな時間が、最近すごく気に入っています。


サーフィンは「瞑想に近い」と言われることがあります。

たしかに分かります。
波を待っている時間、海に浮かんでいる時間。
頭の中が静かになっていく感覚。

でも、僕にとって“無心”に近いのは、実は自転車かもしれません。

サーフィンには、少なからず人がいます。
ピークの空気、周りの視線、波の取り合い。
好きだからこそ、その空気ごと楽しんでいる部分もあります。

でも自転車は違う。

信号を越えて、街を抜けて、ペダルを回しているうちに、
だんだん余計なことを考えなくなっていく。

ただ、呼吸して、進んでいるだけ。

その感覚が、なんだか心地いいのです。


ヨガでも「自分に戻る」という言葉をよく使います。

でも実際には、
“戻ろう”と頑張るほど、難しかったりもする。

ちゃんとしようとか、整えようとか、
気づけばまた頭で考えている。

自転車は、その点とても単純です。

風を感じて、
疲れたら少し休んで、
また静かに進んでいく。

それだけ。

なのに、走り終わる頃には、
不思議なくらい頭の中が静かになっています。


腰を痛めたことで、海から少し離れることになりました。

でも、そのおかげで、
違う形の“静かな時間”を見つけた気がします。

自転車に乗って、風の中を走る時間。
誰にも会わず、ただペダルを回している時間。

それはたしかに、僕にとって特別な時間でした。

でも、ふと思います。

ヨガも、きっと同じなんですよね。

遠くまで走らなくても。
景色が変わらなくても。
汗だくで何十キロも移動しなくても。

マット一枚の上で、
呼吸を繰り返しているうちに、
少しずつ頭の中が静かになっていく。

“自分に戻る”って、本当はそういうことなのかもしれません。

外へ向かうことも、
内側へ戻ることも、
どちらもきっと、人を整えてくれる。

最近はそんなことを思いながら、
また静かに、ペダルを回しています。